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第77回-ひき分け組

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私は品川区の海沿いにある古いマンションに住んでいるが、都心回帰だかウォーターフロント・ブームだかなんだか、近隣はかなりの新築マンションブーム。しかもそれが高い! こんな高額マンション、この不景気に誰が買うのか? と見ていると、あれよあれよという間に「完売」してしまう。税理士に聴いたところ、「一部IT関係と不動産関係が非常に好況で、そこで働く若い世代が買うのではないか」とのこと。ふむ。「勝ち組」というヤツか。

格差社会とやらが一層広がり、そんな金余りに近い連中がいる一方で、その日の住まい、その日の暮らしに困るような人達もいる。「負け組」とは書きたくないが、マスコミはこぞってこうした「勝ち負け」を採り上げている。

さて、そこで自分自身はどうか? 新卒で入社した財閥系の大きな会社を2000年に辞め、転職先である高給で有名な情報出版社を1年で辞め、2002年にはついにサラリーマンそのものを辞めてしまった。
同年自ら起業した会社は激動の(?)2000年代に翻弄された。そこそこの業績でスタートしたが、まずはリーマンショックでダウンし、東日本大震災でもダウンし…。

「ひき分け組」なのではないかと思うのだ。ビジネスモデルが全く異なるので、宇宙旅行に行くようなITベンチャーにはおよそかなわないが、「その日の暮らしに困る」というわけではない。
同世代のサラリーマンに比べると若干収入が劣るような気もするが、仕事の中身はある程度自分で選択出来るし、あまりにストレスの多いコンサル契約はこちらから契約解除を申し出ることも出来る。

そもそも「自分の会社」なので、事業内容は自分が得意な分野だけだ。「好きなことをやってお金を貰っている」というほど気楽ではないが(技術的に高度で仕事量も膨大。最新技術のキャッチアップがひと苦労)、100%合わない仕事はやらなくても良い。そして高級住宅には住めないが、フツーのマンションでフツーの暮らしが出来る…。

そんなさまざまなプラスとマイナスを考えると、なんだか「ひき分け」のような気がしている。勝ったの負けたのピリピリしないで、「ひき分け」と呼べるような仕事の仕方があっても良いのではないか。実はヨーロッパ人などがそうなのかもしれないが…。

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第64回-金を稼ぐ難易度

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前回のブログで団塊世代が若手だった30、40年前と現在では「仕事の『質と量』、難易度と分量の劇的な変化がある」と書いた。話を団塊世代まで拡げてしまうと、正確な記述のために色々と調査をしなければならないので、まずは我が身、自分の世代と今の比較をしてみよう。

私は60歳代の団塊世代とはひと回り違い、昭和40年生まれ、平成初頭入社という中間世代(?)になるが、いや、もう、質も量も激変している。平成初頭も何も、いまの会社を始めた15年前と比べても大違いだ。

例えばメインでコンサルティングしている光ファイバ製品。創業当時の2000年前後はお隣り韓国からちょっとだけ割安のコモン製品(特に特徴のないアタリマエの標準品)を持ってくれば商売になったし、日本製のちょっと高度なスペックの製品を紹介すればアジアでも欧米でも喜ばれた。

当然の話だが、今はそんなレベルではビジネスは成立しない。MSA(Multi Source Agreement)と呼ばれる規格統一の影響もあり、コモン製品はタイやベトナムで安価に製造され、最も付加価値が付けやすいコネクタ取付に至っては北朝鮮の工業団地製まで登場している。ハイスペック品も全く珍しくはなくなり、今の中心は中国製、台湾製。韓国製が苦戦し、日本製は「高いので意味がない」と言われる状況だ。そして当社は「そんな時代に日本メーカーとして何を作るべきか」というかなり難しいコンサルティングが生業となっている。

広告やWebについても同様。昔は海外の専門誌にパイプがあり、当社経由で広告が出稿出来る、英語で、外人が注目するコピーやビジュアルで原稿が作れるということだけでそこそこの商売が成立したが、いまや製品自体が上記のような状況なので海外媒体に対し熱心に宣伝費を投資したいという奇特な人は極めて少ない。

最も違いが大きいのはWebだろう。2000年前後は「ホームページビルダー」のような一般家庭でお父さんが使うようなソフトでも、ちょっと見栄えの良いページが組めたらなんと仕事が来てしまっていた。ウソのような話だが本当だ。Photoshopを使ったレタッチについてはさらにすさまじく、「88x31ピクセルの定型gifアニメバナーを1個作って1万円」などという夢のような時代もあったのだ。

ホームページビルダーはその後、DREAMWEAVERに変わり、いまやCSSコーディングが中心。デザインもフラットになり、「立体ボタン加工」などもはやレトロの域だ(マーキーやFlashは論外。このモバイル端末時代に…)。

いくつかの例を挙げたが、結論はひとこと「金を稼ぐのが難しくなった」ということだ。これに尽きる。昔は結構な儲けになっていたコト、モノが、いまは全く商売にならない。ネットやモバイルなどインフラ面から見ると成熟、横這いのように見えるこの10年、15年だが、いやいやとんでもない。その本質は激変し、ウカウカしていると「全く商売にならない会社」になってしまう。ある意味怖い時代と言える。

第58回-忙しさと信用

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新規のお客様からお問い合わせを頂き、「さて、いつお会いしましょうか?」となった場合、私は「空いている日時で最も早いのは…」と答える。まぁ、これは別になんということのない、アタリマエの対応だろう。
コンサルタント先によっては毎週決まった曜日の決まった時間にこちらから出向いて行くところもあるので、そこは「先約アリ」となって、「*曜日の午後は埋まっているので、その翌日の…」などというやりとりを経て、概ね1週間から10日以内のどこかで決まることがほとんどである。

ところがここで、「異常なほど忙しい人」というのがいる。例えば当社、A社、B社の3社でミーティングをしようとなった時に、A社さん曰く「B社さんは超忙しいからなぁ」と。
実際に日程を摺り合わせてみると、「最短でも3週間後」などと言われる。それまでの2週間、東京都内で1時間、2時間の余裕もないのか? と思うが、「ない」と断言される。ううむ…。

逆に「異常なほど空いている人」というのもいる。「いつがいいですか?」と聴くと、「あぁいいですよいいですよ。いつでもOKです。いま朝10時なので、午後1時くらいに御社に…」などと言われる。「今日はもう予定が決まっているし、数時間では準備も出来ない」と言うと、「じゃぁ、明日の朝イチで…」などと言われる。ホントにヒマなんだな、この人…。

「異常なほど忙しい人」も「異常なほど空いている人」も、信用という面では微妙な気がする。飲食店で考えてみると良いだろう。前者はあまりにも混みすぎで、十分なサービスが受けられるか心配になる。2回目、3回目のミーティングや仕事の成果物も「大丈夫なのかな?」と不安になって来るだろう。
後者はカンタン。ガラガラの飲食店を考えてみれば良い。周囲がそこそこに混んでいるのに、なぜかその店だけ誰もおらず、「ハイ!すぐに良い席をご用意しますよ」と言われても、味の方は大丈夫なのか? このガラガラの理由はなんだろう? と…。

もっともこの忙しさとスケジューリング、そして信用の関係は、クオリティが落ちないボリュームを見極めて、適切な受注量で仕事を回して行けば自然と落ち着いて来るハズなのだが…。

第42回-信用というもの

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もう随分昔になるが、当時勢いのあった某ハイテクベンチャー企業の話で驚いたものがあった。その会社、社長以下全員(だったか?)が「ビジネス・ネーム」、わかりやすくいうと偽名というか、芸名を使っているというのだ。

写真週刊誌に掲載された社長の名刺には「○太郎」というトンデモない名前が書いてあったように記憶する。当時の私は古い電線メーカーの工場勤務だったが、ともかく「何だコイツラは?!」と。

ベンチャー社長曰く、「ユニークな名前が親しみやすい」、「営業時に話題にしやすい」、「興味を惹く名前を付けるために、社員のアイディアが発揮される」等々、その効果を挙げていたが、逆にデメリットは考えなかったのだろうか。

B to Bの企業間契約を行うならば(もっともB to Cでも同じだが)、最も重要なのが企業及び担当者の信用度である。企業として与信や手形等で問題はないか、更に担当者個人としても私的なハンドリングを行うなどの問題はないか。そこに「通信ピコ之助と申します」なんて名刺を出されたら、まぁ秒速で「お帰り下さい」だ。「坊やの会社ゴッコに付き合ってる暇はないのよー」とイヤミのひとつも吐きたくなって来る。
そもそも契約書や伝票上の名前はどうなるのだ?取引でモメた時に、あっけなく芸名を変えられて、「ピコ之助という社員はもういません(モメそうだったんで改名してんだよ。ケケケ)」と逃げられる心配はないのか…ともかく、まったくオハナシにならない。

更に人間の「名前」というものに対する深さと意味を全く無視していることも、いや、それこそが気になった。私は文筆業も含め「定成」という摩訶不思議な本名で通しているが、なにしろレアな名字なので必然的に話題になることも多い。
直接のルーツは広島県の旧・因島市で、残念ながら家系図はないが寺の過去帳から3、400年前前では遡れた。実は「定成」は京都の地名で、今でも京都市南区に吉祥院定成町と吉祥院西定成町が残っている。たぶんその前は京都にいたのだろう。

もっともこんなレア名字ではなくても、川島姓ならば元は近江の人なのだろうかとか、矢島姓はもしかしたら横須賀かもしれない等々、よくみる名字にも色々な物語があって、十分すぎるほど話題になる。静岡の某社ではあまりにも鈴木姓が多すぎて混乱するので、社内では名前で呼び合っていて、我々も会議の時はフルネームか名前で呼んだりしていた。それが日本の文化であり、人々の知識、教養である。それを全く無視して、子供の遊びのような奇妙な名前を名乗って…企業としての「民度」の低さに驚いた。

ちなみにそのベンチャー企業はその後、とあるトラブルで大問題となり株式市場を賑わせることになったが、それについては私は関係も興味もない。会社まるごと、我々のビジネス世界とは「別の宇宙」の話だと思っている。

とまぁ、ずいぶん上から目線で、好き勝手なことを書いたが、実はこの「坊やの会社ゴッコ」-マーケティング・プランの会議で「チャイルディッシュなお遊び」などと呼ばれることもあるが-ビジネス・ネームに限らず、広報宣伝や事業展開、デザインなどでもウッカリと陥る可能性がある。しかもベンチャーか老舗か、零細か大企業かにかかわらず、である。以上の文章、ぼんやりしていると陥ってしまう罠として、自戒の念を込めて…。

第35回-うやむや

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コンサルタントをやっていて一番困るのが、長い時間と膨大な費用をかけて市場調査やクライアントサイドの技術・組織コンサルティングを行ったにもかかわらず、資料提出後に「次の一手」がうやむやになっている状態だ。

市場調査にしても、クライアントに対するコンサルティングにしても、じっくりとやれば数カ月はかかる。そしてその最終報告書は膨大な量になる。それをもって「第一次成果納品」なので、キッチリとした報告会も開催するし、その場では一応の議論もある。

当社サイドはそれに続いて請求書を送り、しかるべきコンサルティング・フィーを頂いて…「お金を貰ったならば、それで十分ではないか?」-たしかにそういう考え方もある。しかし当社は人事や営業のコンサルタントではないので、それではちょっと困るのだ。

最終報告書には対象技術の優位性がきっちりとまとめてある。もちろん良い話ばかりではないので、問題点も書いてあるが、それに対する対策案も具体的に、実現可能な内容でまとめてある。技術的な方向性の示唆、研究開発施策、営業施策まですべてを書いたにもかかわらず、話が「うやむや」になってしまう例が少なくない。

特に多いのが外資系企業の日本進出コンサル。情報伝達と意思決定の動脈が、どこかで切れているのだろう。「調査内容と施策には全面的にアグリーだが、適切な人材がいないので実現が困難」という例もあった。人材登用のアドバイスも行うと言っても、それには答えず、結局うやむやに終わってしまうことが多い。
逆のパターン、日本企業の海外市場進出でも「適切な人材がいないので」が多い。しかしそれならば何でここまで時間とカネをかけて、手間のかかる仕事を当社に依頼して来たのだろうと(仕事を貰っている立場ながら)不思議に思う。

ふたつのことが考えられる。まずひとつめが、実はそのプロジェクトは実施することが目的ではなく、その事前調査を行うことが目的だったという例。まるでお役所の「ナントカアセスメント」のようだが、驚くべきことに民間企業でもこのパターンは存在する。「とりあえずF/Sだけやって、商機アリと出ても、それはまた別の話で…」というわけだ。うーむ。不思議。

もうひとつが、当社のような外部コンサルタントが立案した技術・営業施策には従わない、という例。これはずいぶんな話だが、日本企業は経営戦略に外部の人材を絡めることに慣れていないので、見えないバリアというか、生得的な抵抗感があるのかもしれない。

しかしこんな話だかりではない。中には「第一次成果納品」後、報告会終了後に「これからが本番!」と一層アグレッシヴに動き出す企業もある。ともに海外まで出掛け、クタクタになるまで飛び回り、動き回り、売りまくり…。

我々はリタイア組が始めた商談紹介コンサルでもなければ、金融・証券出身のアナリスト集団でもない。製造メーカーの技術屋と企画屋が、働き盛りで始めた特殊な(?)ファームである。そうしたアグレッシヴな実行動でこそ真価を発揮する。どうにかそこまで(息切れすることなく)進んで欲しいと熱望している。当社サイドはどこまででもついて行くつもりだ。

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