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第53回-コラムにみる人生と人格

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もう40年くらい講読している東京新聞の夕刊に「紙つぶて」というコラムがある。女優から歌手、大学教授や作家、研究者、会社社長などさまざまな分野の著名人が半年がわりで連載をするのだが…まぁ、なんというか、玉石混淆だ。

東京新聞は中日新聞系列で、そのためなのか愛知・静岡系の人脈が多いのだが、ここのところ「この欄は白紙でいいから、そのぶん値引して欲しい」と思うような迷文を乱発する人が続いた。

例えば最高学府卒をウリにしていたある女性歌手。いろいろな時代、場面におけるご自身の経験を書いていたうちは良かったが、半年間、約25回続けるうちにネタが尽きたか、もう抽象的なココロやキモチを描く文章になって来て、何が言いたいのかサッパリわからなかった。確か私と同年齢で、もう50歳にもなろうというのに、たった25回の短いコラムも続けられないような人生だったのか?
少々キツイ言い方になってしまったが、それは"その逆"もあるからだ。こちらは実名で良いと思うが、東京新聞ではないがジャズ・ピアニストの山中千尋があちこちの媒体に書くコラムの面白いのなんの。
ちょっとした日常の出来事から極めてユニークな考察に深化して、予想もつかないような結論に達する。時には深い見識に唸らされることもある。彼女は30歳を過ぎたばかりだが、人生経験というよりも奇抜な発想や柔軟な思考があのような面白い文章を生むのだろう。この2人はあまりにも対照的だ。

またある大学関係者の連載も、現職に至る前に携わっていた地方政治に関することが繰り返し繰り返し書かれており、冒頭を見て「またこの話か」とウンザリしていた。その話が面白いならばともかく…。この人にはそれ以外の書きべきものがないのか??

この「紙つぶて」や、朝刊掲載の「本音のコラム」を読み続けると、コラム向きの人というか、面白いコラムのツボが見えてくる。
大学教授、研究者、企業人など、現在の仕事はまったく関係がない。硬軟取り混ぜて時間軸を自由自在に操り、子供の頃の失敗談から現在の国際情勢まで、手を変え品を変え、それでいて本人の視点、主張がどこかにきっちりと入っている。笑わせる、泣かせる、驚かせる、唸らせる…こう書いて行くと、「雑談の上手い人はコラムも上手い」という気がして来るが(笑)。ちょっと飛躍するが、一緒に仕事をした時の面白さなんてのも、これに比例するのではないか、とも。

さて、このブログはどうだろう…というのはコワイので考えないようにしよう。ともかく、文章というのは難しいものだ。

第51回-一国に一回のチャンス?

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先日、NHKスペシャルで「戦後70年 ニッポンの肖像 豊かさを求めて」という番組をやっていた。1945年の敗戦から今日までを、経済動向で振り返るというので観てみたが、内容的には2年前にこのブログに書いた内容とほぼ同様だった。そりゃまぁ、経済成長率の変化は定量的な既成事実なので、どうやっても同じになるだろう。朝鮮特需、オイルショックなどの外因も同じ。

ブログに書かなかった内容では「人口ボーナス」の概念があり、そしてこれが面白かった。
これは金融・経済用語で「人口学的ボーナス」、英語ではdemographic bonusとも呼ばれる。他のサイトを参考にまとめると-

1.労働力増加率が人口増加率よりも高くなることにより、経済成長が後押しされる。

2.人口構成の変化が経済成長にプラスの影響を与える状態。子どもと高齢者の数に比べて、働く世代(生産年齢人口:15~64歳)の割合が増えていくことによって経済成長が後押しされる状態。

3.都市化の進展、工業化による所得増、消費活発化による高い経済成長率を実現する潜在能力があり、「若い国」と呼ばれる。

4.教育・医療・年金などの社会福祉の負担が少ない一方で、税収が増えて財政負担が軽くなり、インフラ整備や税制優遇に資金を回しやすく、その結果、産業の国際競争力が強くなり、内需も拡大することが多い。


-この通り、いいことづくめだ。そして番組では、「ある国が人口ボーナスの恩恵を被るのは一回だけ」と言っていた。それが1960年代を中心とした高度経済成長期の特徴でもあったというわけだ。

そういわれてもな…。この時代に日本が人口ボーナス状態にあったのは、まず直前の第二次世界大戦での戦死者、被災者、出征者の影響。そしてその後のベビーブームの影響が重なったものだろう。再度の人口ボーナスに期待するのは困難かつ危険でもある。

この通り、国単位のマクロレベルでみても、「あの頃のニッポン」なんて取り戻せやしないのだ。むしろその時代の経験を元に、いままさに人口ボーナス状態にある新興国への支援や指導に注力すべきだろう。

私が新卒の就職活動をしていた1989年頃、出始めの"ハイテク・ベンチャー"企業が「ソニーだって創業時は今の当社より小さかった。あと20年、30年経ったら当社も!」と熱心に大学生を呼び込んでいたが、私は全く興味がなかった、というかそう語る人事担当者に苦笑し、受け売りする同級生を窘めていた。ソニーが過ごした30年と、1989年からの30年-まさに失われた20年である-とは全く時代背景が異なるのだ。なぜそこを考えない?

この人口ボーナスの件ひとつとっても、それは明確かつ強固に理解出来る。景気や企業経営を見る目は、冷静さが重要、ということか…。

第50回-がんばるということ

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東京生まれである。品川区で生まれて幼少期は大田区。その後湘南に移り、ここ20年はまた品川区や渋谷区に住む。どうもこれは土地の風土(?)なのか、「がんばる」ということを表に出したくない性分がある。照れというか、見栄というか…「粋じゃない」のだ。

しかしニンゲン、全くがんばらずに歳を重ねることなど-資産家の跡取りでもない限り-出来るはずがなく、こんな私でも、「割り切って、がんばった」記憶が二回ほどある。そしてその割り切りの瞬間のことを、なぜか鮮明に覚えている。

一回目は大学2年、当時はあまり一般的ではなかった「ダブルスクール」を覚悟して、本格的に英語を勉強しようと思った時だ。大学が終わってから、月曜日は英会話学校に、水曜日はTOEICの専門学校に、その他の曜日は大学の国際センターに。
文科系大学の2、3年と言えば授業数も減り、まさに「遊び盛り」のはずだが、私はそもそも二浪しており、しかも志望校でもなんでもない滑り止めの三流大学だったので、「ここで英語くらいやっておかないと、きっと就職で苦労する。いつかは苦労するならば、余裕のある今のうちに」と、通学途中の山手線の中でフッと割り切った。品川-大崎間、「カツマタデンキ」の横を通過しているときだったことまで鮮明に思えている。

これは私のジンセイにおいて、本当に貴重な「賢明な判断」だったと言える。これから2年間の成果も手伝って、就職は第一志望の大手電線メーカーに。ほとんどの事象を「あとでイイヤ」、「テキトーにやって、あとはサボろう」という習性のある(そもそもそれで二浪した)私が、ほぼ唯一、先を見越して決断、実行したものと言える。あの決断、あの一瞬がなければ今の仕事も、海外との付き合いもなかったかもしれない…。

二回目は電線メーカ入社6、7年目のこと、工場の製造現場、品質保証部が業務に使用するプログラムを自分で作成しようと"がんばった"時だ。
実はこれには前章がある。当時、業務改善の専任チームにいたのだが、「プログラムぐらい、どうにかなるだろう」と経験のない言語にもかかわらず、安請け合いしてしまったのだ。ところがやはり出来ない。迫る納期(本当にヤバくなったら「ごめんなさい」してシステム部に有償で発注しようかと目論んでいた)。

そんな中、他工程に行き参考にある検査用プログラムを見せてもらった。内容は違うが、動作のイメージはまさに私が作ろうとして出来なかったものだった。誰が作ったのかと尋ねると、なんと品質保証が専門の先輩社員。「プログラミングなんて知らなかったけど、本を買って、読みながら組んでみた」。
その一言に"いい意味で"ショクを受け、一念発起した。その先輩は元々専門分野では一目置かれる「デキる」人だったが、それほどの人でも、わからなかったら本を買って、イチから勉強してどうにか自作するのだ。イカン! チョコチョコやって「出来ねぇ~!」とか言ってる場合じゃない。

その見学が金曜日で、その足で本を買って、土日に家のパソコンで試しに組んでみた。初夏だったと思う。ベランダのそば、網戸の前にある自宅のパソコンで、簡単なプログラムを組んで、パタパタと動いた時の感動はまだ覚えている。
プログラムというのは飛行機の操縦に似ており、ある規模のものが出来ると、継ぎ足し継ぎ足しして巨大なものにして行くことが可能なのだ。結構複雑なシステムが納期ギリギリに無事完成。大きなトラブルもなく、それからしばらくの間、私の組んだプログラムで数十人の社員が毎日検査や出荷を行っていた。

一回目も二回目も、要は「割り切り」なのだということを痛感する。そりゃニンゲン、遊びたい、食べたい、呑みたい、眠りたいしサボリたい。しかし、「いや、ここは手を抜かずに、集中して、ひとがんばり」と割り切れるかどうか。

しかし、それこそ小学校前の「お受験」の頃から、絶えずそういう判断をして、エリートコースを歩んでいるヒトもいるんだよなぁ。デキねぇナァ~! 俺には出来ない!(と思いつつもう50歳…)

第38回-キャッチアップ

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まずはいくつかのエピソードから-

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丸の内のオフィスを飛び出して3年半後、念願の「自分の会社」のオフィス開設。会社のスタイルにこだわりがあったので、立派なデスクを購入し、「島」型、指定席制のかつての在籍会社に倣ったレイアウトに。しかし来社した後輩から、「ウチの会社、島も指定席も止めましたよ。いまはフリーアドレスです」。

「脱サラのコンサルタントというと場合によってはウサン臭い目で見られるから、服装だけはキッチリと。真夏でもスーツ必須、ネクタイ必須。ウチの会社はクールビズもカジュアル・フライデーもナシ」としていたが、震災以降の節電の影響から、コンサルタント先の大企業がこぞってノーネクタイのクールビズを推進。逆に浮いた格好に。

「クールビズでノーネクタイがOKといってもそれは夏期の話。10月1日以降はネクタイ着用」と考え、10月初旬の会議にネクタイをして行ったが、取引先が「温暖化の影響なのか秋になっても暑いので、10月末日までノーネクタイがOKになりました」。再び浮いた格好に。

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-ご想像の通り、いずれも弊社社長、というか私の経験談なのだが、この通りビジネス・スタイルに関する慣習など1、2年単位でいくらでも変わって来る。

スタイルだけではない。例えば私が事務所を構えた11年前はインターネット上のバーチャル企業ではなく、都内の良い場所にしっかりとした事務所を、しかもそれなりの体裁で構えていることがステータスでもあり、少なからず信用とも結びついていた。しかしいまそれをやりすぎると(もちろん程度の問題はあるが)、「このご時世に経費の圧縮を考えていない、経営努力の足りない会社」と思われかねない。

スタイル、経費と同様に、事業内容そのものも、いまや2、3年経てば陳腐化しているものもある。例えば弊社でも、かつては年間売上の「屋台骨」になっていたような事業のいくつかが、取引先の事業撤退や縮小、さらには市場から「そのようなアクションが消滅した」という強烈な理由から影も形もなくなっている。

困ったことに会社を10年以上続けていると、経営者も10歳以上年齢を重ねることになり(あたりまえだが)、こうした世間の変化に気づきにくくなって来る。このあたりは「誰と、どの世代と付き合うか」というまた別なテーマになるのだが、それは次回以降で。

第37回-チューニング

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「仕事が乗る、乗らない」ということは誰にでもあるだろう。私の場合は光工学分野での新規市場開発の提案書を書くとか、音楽・映画関係の文章を書くという仕事なので、「乗る、乗らない」は極めて切実。真っ白なキャンバスに絵を描くのと同じで、乗ればすいすいと手が動くし、乗らないといつまで経っても真っ白のままである。

当然乗らない状況もある。考えてみるといまひとつその世界に入り込めていないというか、アタマがそちらに切り替わっていないように思える。イメージ的にはラジオや無線機の「チューニング」の概念に近い。

さらにちょっとマニアックな事を書くと、チューニング=同調回路というよりも、「共振回路」と言った方が良いかもしれない。自分の中にその作業に対するナニカをわずかに発振させて、作業と共振させる。うまく周波数が合うと、一気に信号が増幅されて大きなアウトプットになる。そんな気もする。

最も理想的なのは朝起きたときからアタマの中で今日処理しなければならない作業を思い出し、その解決案がふわふわと浮かび、朝の通勤電車の中ですでにメールの文章や、作成資料のイメージが出来上がっている…これは極めて理想的、いや、理想的すぎる状態だろう。

たまにはそんなこともあるが、実際はそんなにはスムーズに行かないので、新聞を読んだり、日経産業新聞で工業系のニュースを熟読したりして、アタマと身体を次第に”そちらのほう”に近づけて行く。それが「チューニング作業」である。

私は単純なのか新聞や業界誌を眺めているうちにふわっとそちらの世界に入り込んで、なんとなく手が動き始める。音楽・映画関係の文章も然り、関連資料を読んだり、観たり、聴いたりしているうちに、その世界の中を旅するような状態になり、ぽつぽつと文章が浮かんで来る。

もちろん最初から完成形がアウトプットされるわけではなく、真っ先に浮かぶのはぼんやりとしたイメージだったりする。文章ならばキーワードやワンフレーズだけ、資料ならば表や図の雰囲気だけ。
それでも浮かべば十分だと考えている。それをくしゃくしゃとノートに書き、それを見ながらパソコンのキーを叩き、少々時間がかかることもあるが、しばらくすると一応の完成形になっている。

最も惜しいのは寝る前、起きた直後に閃いていたキーワードが、目が冴えると消えていること。実は今がその状態で、この文章の起承転結もいまひとつ引き締まらないものになってしまった(苦笑)。しかも映画関係の文章用に、殺し文句までも浮かんでいたのに…。

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