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2010年04月

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第3回-受注確率という概念




前回、「専門分野を持ち、手に職のあるエンジニアは素晴らしいと思うが、エンジニアとしての能力と、こうしたビジネスの見方、考え方はまた別の話。ここに技術系ベンチャー運営の難しさもある」と書いた。私は私立大学の経営学部を出て、電線メーカーで企業や仕事の何たるかを覚えた、「文科系出身のメーカー社員」だったが、そんな私が技術系ベンチャーの連中と話していた気がつくのが、「受注確率」についての考え方の相違だ。

これまた前回「名刺を3000枚近く持っていても、付き合いがあるのは300社強700名くらい。過去に正式な取引があったのは約60社、そしてその60社中、1年間で取引のあるのは**社、毎月の売上に繋がるのは**社…」と書いた。
こうした確率論は個々の案件についても同様で、「ちょっとこんな話があるんだけれど」と知人から連絡が来た、あるいは広告やWebに対して、新規顧客から問い合わせが入った、いや、取引先の担当者から「こんなこと出来るかな?」と問い合わせが来た場合ですら、実際の「売上」となるのは**%くらいだろう。
これは「世の常」なので仕方のないこと。私だって新しいビジネスを思いつくと、実現性の高低にかかわらずその検討段階であちこちに電話して、場合によっては業者から見積を採ったりもしている。
誰を責めるでもなく、「確度の低い話だった」として諦めるべきで、むしろそんな段階でも声を掛けてもらえる取引先として、顧客のアタマの中にリスティングされていることを感謝しなければならない(こういう時に声すら掛からなくなったらオシマイだ)。

つまり顧客候補も、新規案件も、星の数ほど掴んでいなければ、実受注には繋がらない。ところが一部の技術系ベンチャーでは、ごく限られた、数社、数件の話に会社の運命を委ねるようなことをしている。「その案件が流れたらどうするんですか?」「その会社の方針が変わったら、あるいは倒産したら、どうするんですか?」と聞くと、どうもピンと来ていない。そして多くの案件は逸注、霧散し、仕事もお金もなくなる。

最初はこうしたギャップの原因が理解出来なかったが、改めて考えてみると…技術系ベンチャーを興すのは、開発系エンジニアのことが多く、起業前の会社員時代に、彼らの手元にやって来るのは売上が保証された「受注済み案件」しかなかったのだ。
私は電線会社時代に「本社業務部」というところで働いていた。一体何をするかというと、日本中の営業から寄せられた新規案件候補に対する見積計算と見積書の作成、発行。まぁ、もう、毎年何百枚、何千枚の見積書を作ったことか。光ファイバケーブルやコネクタ取付加工、通信工事の担当だったが、これらは当然、相見積の対象となっており、濁流のように押し寄せる膨大な数の新規案件のうち、実際に受注するのは何%くらいだったか…。

こうした世界にいたから、「顧客候補も、新規案件も、星の数」を痛感するのだ。もちろん全ての技術系ベンチャーのエンジニアが「わかっていない」というつもりはない。セールスエンジニアとして営業の前線を経験していたり、あるいは見積担当と一緒に技術資料や提案書を作っていたエンジニアならば、受注確率という概念は十分に理解しているだろう。
しかし、残念ながら「逸注を目の当たりにしている営業の前線」から遠いところ、研究開発部門やプロセス関係出身のエンジニア諸氏によるベンチャーの場合、「自分の手元に仕事が来るまで、どのような事象が起こっているか」を実感出来ていないこともある。技術系ベンチャーの陥りやすい問題点と言える。

こう考えると、技術系ベンチャー企業成功の秘訣は、エンジニアが本業、専門である研究開発やものづくりに対して、いかに専念出来て、心ゆくまでソレにハマれる環境、組織、機能を作るか、周囲がそうさせるかに懸かっているように思えて来る。そして私は、メーカー出身の事務系コンサルタントとして、そんな環境づくりに尽力したいと考えている。

また技術系ベンチャーは、前述のように研究開発部門出身者が多いため、品質保証も手薄になることが多い(「品質保証部出身者による、斬新な製品のベンチャー」というのはあまり聞いたことがない)。これは営業面ではなく、核であるはずの技術面での盲点に繋がるのだが、毛色の異なるテーマなのでいつか改めて記そう。

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