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2013年02月

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第29回-「取り戻す日本」はどんな国?

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政権が交代し、経済復興の掛け声が賑やかである。政治・経済政策以外でも「古き良き昭和」、「日本が元気だった頃」が一種のマーケティング素材として使用され、あたかも「本当の日本は順調な経済成長が永年にわたって続く、素晴らしい国であった」ような印象を受ける。

本当にそうだろうか?

平成も25年にもなると、昭和はもはやちょっとした「近代史」の領域に入り、「そういえば景気が良かったような気がする」というボンヤリとした記憶に流されてしまうかもしれないが、内閣府データによるこのグラフを見ると戦後経済の遷移は明確である。

GDP_550.jpg

経済政策や計量手法など、色々な見方があるだろうが、私は経営コンサルタント兼日本映画史研究家なので、それぞれの時代の出来事が気になる。

グラフの開始前に1950年の朝鮮特需がある。1950年(昭和25年)6月米軍在日兵站司令部設立、まず戦地で使用される繊維製品、鋼管類が納入され「糸ヘン景気」「金ヘン景気」に。'52年に兵器生産許可の覚書が交わされて本格化する。
この時期はグラフには含まれていないが、グラフの先頭を飾るのが'54年(昭和29年)12月から'57年(昭和32年)6月までとされる「神武景気」である。直前の朝鮮特需で国内経済が拡大、その影響による内需拡大という一種の「玉突き」と考えられる。三種の神器(冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビ)の出現はまさに内需拡大の象徴。「もはや戦後ではない」と記されたのが'56年(昭和31年)の経済白書である。

その後、若干の反動もあったが岩戸景気('58年7月~'61年12月)、オリンピック景気('62年11月~'64年10月)、いざなぎ景気('65年11月~'70年7月)と「高度成長期」が続く。無責任シリーズほかクレイジーキャッツ映画('62年7月~'71年12月)や、森繁久弥の社長シリーズ('56年1月~'70年2月)が数々のサラリーマン喜劇を送り出し、経済成長が幸せなコメディのモチーフになっていたのがこの時期である(この時期、父親が米国製一般消費財の日本への紹介や大阪万博のスタッフを仕事としていたため、'65年生まれの私はともかく景気がいい記憶しかない)。
ちなみに散々引合に出される『三丁目の夕日』シリーズ3作は順に'58年、'59年、'64年が舞台なので岩戸景気からオリンピック景気の東京を描いた作品といえる。

'70年代初頭、'72年6月に総裁選直前の田中角栄が発表した政策綱領「日本列島改造論」に起因する経済成長もあったが、ご覧の通り'73~'74年に急落。日本はほぼ20年振りの不況に直面する。'73年10月の第四次中東戦争勃発が引き金となった第1次石油危機、いわゆるオイルショックである(外資系石油会社の広報の仕事をしていた父親及び定成家は、この時に大打撃を受けている)。

ご覧の通り、'73年から'90年までは明らかに異なるステージに入っている。'91~'93年の急落は言わずと知れた土地・金融バブルの崩壊。2000年のITバブル翌年に同時多発テロで再度急落、'02年2月から'08年2月までは「第14循環」、「いざなみ景気」と言われる復興期が続くが'08年9月のリーマンショックで大打撃を受け現在に至っている。
父親は隠居したが、今度は私が直接影響を受ける番だ。'90年に社会人となり'02年に独立・起業。'06、'07年など実に景気が良かった。そして'08年以降は苦労の連続である…。

さて、このような遷移に対し、「日本が元気だった頃」とはいつのことを指すのだろう。土地・金融バブル、ITバブルはあったが、'73年以降は期間平均は低下の一途。戦後の成長期は実は'50年から'73年の23年間しかなく、逆に今年2013年を起点として逆算すると、土地・金融バブル以降がまさに同じ23年間、オイルショック以降はなんと40年間にもなる。
気になるのはこの絶対的な期間だ。ここまで不況が続くと、「もう日本というのは"景気の悪い国"なのではないか。少なくとも"元気だった"云々は半世紀も前の話で、それを引き合いに議論するのは一種の幻影なのではないか」という気がする。世代の差も大きいだろう。高度成長期を知らないオイルショック生まれがもう40歳になるのだ。

私自身は経営コンサルタントと音楽・映画ライターの兼業なので、毎日のように"あの頃"のずいぶん景気の良い日本映画を観ているが、「これは大昔の、ごく一時期のことだったのではないか?」という冷めた見方もしてしまう…。

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