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2014年04月

第40回-遠いアメリカ

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前回のブログで「山積みにした古雑誌に埋もれながら、そもそも海外の、特に米国の光工学・光ファイバ通信専門誌から情報を得ることが少なくなってしまったことを痛感した」と書いた。海外の専門誌に関して、ここ10年の間で変化したことがもうひとつある。日本企業からの広告出稿が減ったのである。

10年前、いや、10年以上前、2000年から2002、3年頃まで、私のいる光通信業界の日本企業がこぞって海外の専門誌に広告を出稿していた。15年くらい前のこと、私自身がまず精密機械メーカーのマーケティング・ディレクターとして米国の専門誌に出稿。2002年の独立後はクライアント時代の経験を活かして海外向け広告専門の二次代理店業務も行った。さらに年に2、3回は自分の会社の広告も出稿していた。
さて、代理店として最後に海外向け広告をハンドリングしたのはいつだったか、そもそも自社広告を最後に出稿したのは何年前だったか…。ウソのような話だが、当時は海外まで色分解した原版フィルムを郵送していたのだ。ひえー! 懐かしすぎる! ちなみに「膜面下」は「emulsion side down」と言う。

海外向け広告専門の二次代理店時代の必殺トークが、「この媒体への出稿は、アメリカ、ヨーロッパ向けであると同時に、日本の同業他社に向けたアピールでもあるんですヨ!」だった。
海外戦略に意欲的な企業は専門誌も熱心にウォッチしており、日本のどんな企業が、どんな広告を出しているかもじっくりとチェックしている(←ホントに)。そこでグッと差のつくような良い広告を出すと、「お、**さん本気で海外ビジネスをやる気だな」となり、ライバルには強気のアピール、日本国内の取引先でも好印象を与えることが出来ます!…というわけだった(←過去形)。

このあたりの事情はここ10年の間に激変した観がある。そもそも紙媒体の海外業界誌を読む習慣は激減してしまっただろう。ネットのメールニュースを読むか、決まったニュースサイトを定期巡回するか、あるいは月刊誌を電子書籍版で読むか。
こうなると紙媒体への広告出稿よりもバナーや広告・キャンペーンリンクで自社サイトに誘導する方が効率的となって来る。月刊誌をPDFで読む場合は、必要なところに飛んだり、拡大したりしながら読むので、隅のほうに出ている広告など読みとばされる可能性大である。
自社サイト自体の強化は言うまでもない。他国語化、SEO対策、頻繁な更新と内容の充実など、雑誌広告にカネと労力をかけるならば、自社のWebページを徹底的に充実させた方がよほど効果的であろう。いや、自社サイトだけではない。ツイッターもあればFACEBOOKもあればLINEもある。経営者のブログも重要だ。

こうした媒体の変化と同時に、海外戦略自体の変化もある。つい10年前まで、海外専門誌への現地語広告の出稿は「海外戦略始めました」のアナウンスとして一般的だったのだが、今はどうだろうか? むしろ何らかのツテを伝って、直接現地に乗り込んでしまう方が多いのではないだろうか。実際に、現在のクライアントの数社が、その手法を採っているか、あるいは準備さえ出来ればすぐにでも飛び出したいと考えている。アメリカもヨーロッパもそして東南アジアも、今や本当に近くなっているのだ。

そしてもうひとつのポイント、「日本の同業他社に向けたアピール」についてはどうだろう? 当時の海外向け広告出稿が、今は海外展示会出展になっているようにも思う。現地展示会への出展は今でも盛んに行われており、同じ展示会に出展した企業同士は、たとえ競合であったとしてもなんとなく、「同じ釜のメシ」的な雰囲気にもなる。
あとはまったく外部に知られることなく、隠密行動で粛々と海外戦略を進めて行く企業もある。つまりは「海外だから」と特別な営業戦略を考えることはなく、日本国内と同じ進め方がアタリマエになったということか。

10年以上前、確かに海外専門誌に英語の広告を出すとなったら、それはもう大騒ぎで。掲載内容、デザイン、ネイティブに通じる英語と洒落たキャッチコピー、そして問い合わせ先を誰にするか等々。為替もまだまだドル高で、費用の捻出も大変だった…マーケティング戦略における「遠いアメリカ」の一例のようにも思える。わずか10年のことなのだが…。

(引用したソニーの海外向け広告。左の女性はどう見ても金髪のカツラをかぶった日本人だよなぁ! 素晴しき哉われらが先人よ…)

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