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2016年11月

第63回-酒ばなれ

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新聞や雑誌で団塊世代の思い出話を読むことが多い。現在60代中盤から後半。1970年後半が「若手時代」だそうで、まぁ、みなさんこれでもかという程に酒を飲んでいる。

新聞や雑誌で文章を発表するくらいの御仁なので、マスコミ関係者、ジャーナリストが多いが、「先輩に連れられて毎日のように酒場に行き、そこで執筆や編集、そして社会のイロハを習った」というような趣旨の文章が武勇伝のように書いてあると、あまりの隔世の感にクラクラする。

ヒマだったのだろうか? 何時から飲んでいたのだろうか? 残業はしなかったのだろうか? 金はあったのだろうか?

なんとなく、「仕事が終わる時間」というのがあったのだろう。昭和の時代には。確かに私が会社に入った頃-丁度時代が平成に変わった頃だが-まだEメールもなく、1人1台のWindowsパソコンもなく、社内のやりとりは「電話、FAX、社内メール」だった。
確かに夜7時を過ぎると電話もFAXも少なくなり、社内メールは17時便がラストだったか…。確かにそこで、「まぁ、今日はこんなところかな」という雰囲気にはなった(もっともそれも数年後のWindows95以降は激変するのだが)。

それがいまや24時間エンドレスだ。電話は携帯になり、メシを食っていようが酒を飲んでいようがかかってくる。「急ぎの用事」の携帯を、レストランの入り口付近で受けている若いサラリーマンのなんと多いことか。Eメールもスマホへの転送が一般的。これまたスマホを見ながら唸っている人も多い。「ユビキタス社会」とはそういうことだったのか。
そしてノートパソコンまたはタブレットの普及。夜遅くの電車の中で、かなりのスピードで作業をしている若いプログラマーなども良く見かける。

社内メールで2日かかっていた書類が、メール添付で深夜に、瞬時に届き、「明日の朝までに返信して欲しい」。このスピード感、1970年後半には想像も出来なかっただろう。

仕事が高度化、複雑化しているという事情もある。ものづくりでも金融でも流通でもシステムでもなんでもいい。単純なモノもコトも、人件費の安い諸外国に流出し、日本国内で事業を存続させようと思うと、かなり付加価値の高い、高度で複雑なことをやらないとカネにならない。

仕事は複雑になる一方、ワークスタイルはエンドレス化する一方。そして過度なスピードアップ。寝ているとき以外はクタクタになるまで働いて…というのがいまの標準的な「働き方」なのではないかと感じている。それを称して「社畜」と呼ぶのかもしれないが…。

若者の酒ばなれ、車ばなれ…何ばなれでもいい。はなれてしまって何をしているか? 仕事をしているのだ。情報ガジェットを駆使して、早朝から、深夜まで。そしてその背景には仕事の「質と量」、難易度と分量の劇的な変化があるように思うが、これは次回に。

先輩諸氏の酒場伝説などを聴くと、もはや「おとぎ話」のように思える。かたや新聞を賑わす若手社員の過労死、過労自殺の記事。この世代格差はあまりにも大きすぎる。職業観としても、人生観としても。

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